ストレッチのタイミング
さて、前回はストレッチの大切さを少しお話しましたが「やみくもに、伸ばせばいい!」というものではありません。硬くなったものをいきなり伸ばすと、「ブチッ」ときれてしまいます。カピカピに干からびた輪ゴムを想像してみると分かりやすいと思います。筋肉も同様で、硬くなっている筋肉、こって短くなっている筋肉を硬いまま、そして冷たいまま、無理に他動的な力で引っ張ると、切れてしまう可能性があります。
筋肉が温まっているか、マッサージなどで血流が良くなっている時にストレッチをすることで縮んだ筋肉が無理なく伸ばされます。
効果的なストレッチとは?
筋肉を引きのばすストレッチはゆっくり行わなければいけません。前回の記事でも書いたように、早く行うと、筋肉の筋紡錘を刺激してしまう可能性があるからです。筋紡錘を刺激すると、反射的に筋肉が縮もうとします。これでは、せっかく血流をよくして筋肉を温め、ストレッチして緩めようとしているのに全く逆効果になってしまいます。
そして、ストレッチをして筋肉が伸びた状態は理想的には30秒維持しなければなりません。筋肉を包んでいる筋膜までしっかり伸ばすには、90秒伸ばした状態を保持しなければいけません。これは自分で行うのは結構根気がいりそうですね…。なので、ストレッチするにはできるだけ簡単にできるものを選んでTVなどを見ながら無理をせずにやるのがお勧めです。
ストレッチを行うべきタイミングは?
よく「息を吐きながらストレッチして下さい」といわれていますがそれはなぜでしょうか??
下の図を見て下さい。
ここで大切なのは横隔膜になります。
息を吸っている時に横隔膜は緊張し、吐いている時に横隔膜はゆるんでいます。この、緊張とゆるみの差がたくさんの空気を肺に取り込む仕組みになっています。この差があまりないと、つまり、横隔膜がゆるみきっていないと、息が十分に吐ききれず、古い空気がずっと肺のすみに残っている状態になります。
横隔膜はヨガや座禅、瞑想法などで呼吸を整えていく時に使う呼吸の筋肉です。精神的緊張、怒り、悲しみなどの感情がたまってくると、横隔膜の緊張をもたらします。 この時、交感神経が優勢になっています。筋肉は交感神経が優勢の時は緊張し、副交感神経が優勢の時に弛緩し、ゆるむので横隔膜の緊張=筋肉の緊張になります。
つまり
精神的緊張・怒り・悲しみなどの感情
↓
横隔膜の緊張
↓
筋肉の緊張
↓
栄養分が体の隅々まで行かない、コリの原因、冷え性の原因
ここに冷え性対策のヒントがあります。
手足の先が冷たい人は緊張が続いているということなので、思いっきり息を吐ききるくせをつけましょう。そうすると感情も落ち着くとともに体の隅々まで血と共に栄養分が行き、冷え性も改善されることになります。
脱線しましたが…。ヨガでは吐く息を長くする呼吸法をすることがありますが、これは横隔膜がリラックスした時間を長めにすることによって副交感神経を優位にし、筋肉の緊張をといているのです。
横隔膜は自律神経の支配を受けていながらも(意識をしないで自動的にコントロールされている)、同時に、私たちの意志でコントロールすることができるとても数少ない身体の部位です。
「ホッとした」という言葉、これは緊張が和らいで横隔膜がリラックスし、息を吐き出した状態に出てくる音です。心が緊張すると、無意識のうちに横隔膜も緊張したままになり、呼吸が浅くなるのです。(交感神経が優勢になる)
横隔膜を本当に弛緩させるために、息を吐くときには「ほ~っ」と音に出して、口からやわらかく息を吐きながら首、肩から横隔膜の辺りまで力を抜くような呼吸を繰り返すと、次第に身体全体の過度な緊張が緩んできます。(副交感神経が優勢になるため)
これらの理由から、ストレッチは筋肉が弛緩するタイミング=息を吐くタイミングで行うのが最も効果的なのです!
参考JEA
院長おおしま