自律神経失調症
身体の調子がイマイチ悪く、「何か病気ではないか?」と心配して、病院にいったところ、「自律神経失調症」と診断され、一般的な薬は処方してもらったものの特に改善しなかった経験はないでしょうか?
他人に自分が心因性の病気と思われるのも嫌で、特になにもせず放ってはいるものの、症状が改善せず誰にも打ち明けることができない患者様も少なくはありません。
自律神経失調症による身体の不調
個人差もありますが、病院に行っても病名がつくような疾患がないのに下記のような症状が現れる。
■全身
倦怠感・すぐ疲れる・常に眠たい・食欲がない・朝からだるい・脂汗がでる・やる気がない・集中力低下・すべてが億劫・不安感・イライラが続く・緊張・疲れ切ることが多い
■顔頭
頭痛・ぼーっとする・頭が重い
■呼吸
呼吸が浅い・息苦しい・息切れ
■心臓
すぐドキドキする・ふらふらする・めまい・立ちくらみ・胸が苦しい・血圧が不安定・不整脈
■消化管
胃もたれ・吐き気・むかむかする・気分がわるくなる・下痢・便秘・痛み・お腹が張る
■膀胱
トイレが近い・残尿感・尿がでにくい
■生殖器
月経不順・月経痛・不感症
■その他(一時的ではなく常に以下の症状が出る)
冷え性・のぼせる・しびれがある・震え・耳鳴り・ほてり・肩こり・首の痛み・腰痛・目の疲れ・口の渇き、めまい・汗をかきやすい・不眠・眠りが浅い・皮膚のかゆみ・ひどい乗り物酔い
自律神経とは
自律神経は、英語では[automatic nerve]オートマティック・ナーブといいます。自動+神経という意味で、私たちの体は特に意識をする、しないにかかわらず勝手にバランスをとってくれています。運動したときは、心臓がドキドキし、脈は速くなり、呼吸も激しくなります。つまり、自律神経とはあなたが生きていくために、循環器(心臓、動脈、静脈、毛細血管)、消化器(食道、胃、小腸、大腸、直腸、肛門)、呼吸器(肺・気道)など、無意識に行われる身体の活動を調整するために、24時間働き続けている神経です。あなたは、この自律神経の働きがあるから生きていると言っても過言ではありません。
一方、手を動かす、足を動かすなど、筋肉を意識的に動かすことができるのは、自律神経ではなく、体性神経(運動神経)が脳で意識した指令を筋肉に伝えているからです。
末梢神経は以下の二つに大きくわかれます。
自律神経=無意識にコントロール
体性神経=意識下でコントロール(運動神経)
以下、神経系統の図を参考までに載せておきます。
自律神経の仕組み
自律神経とは、交感神経系と副交感神経系で成り立っています。この2つの神経は拮抗する関係にあり、それぞれが臓器の働きやホルモンの分泌を自動的にコントロールしています。
例えば、心臓を強く働かせるのは「交感神経」の働きで、静めるのは「副交感神経」の働きです。一般的に「交感神経」は身体の働きを促進し、副交感神経は抑制的に働くのですが、時にそのイメージとは反対の作用のものもあります。なので、交感神経は「闘争・逃走モード」と捉え、副交感神経は「休憩モード」と捉えると理解しやすいと思います。
分かりやすい例は、「①全身の発汗作用」と「②消化液の分泌」です。両方とも「発汗する=促進されている」「分泌されている=促進されている」というイメージから、一瞬、交感神経によるものと思いがちです。が、前述のように、交感神経=「闘争・逃走モード」という考え方で捉えてみて下さい。「闘争・逃走モード」ということは、ストレスを感じた時、「敵と戦う!」「勝てそうにないから敵からすばやく逃げる!」という緊急事態のスイッチが押された状態です。そんな緊急事態に全身から汗をかいていたり、食べ物の消化をのんびりおこなっている余裕はありません。そうなのです、これら二つは交感神経ではなく、副交感神経によるものです。
そして、もう1つの特徴は、交感神経は大体、「昼間」に、副交感神経は大体、「夜間」に働くことが多いです。これも、戦闘モードと休憩モードにあてはめれば分かりやすいですね。
寝覚めがよい、悪いは、この交感神経と副交感神経という2つの神経系がうまく切り替われているか、切り替われていないか、によることが多いです。
交感神経
体を活発に活動させる時に働く神経が交感神経です。
体の緊張
心臓の鼓動が早くなる
血圧が上がる
瞳孔は散大する
呼吸は激しくなる
アドレナリン、ノルアドレナリンが作用する
副交感神経
食事中や睡眠時など体を落ち着かせている時に強く働く神経が副交感神経です。
胃酸がたくさん分泌される
腸の運動は活発になる
食物の消化に関わる機能が活発になる
心臓の機能は抑制される
アセチルコリンが作用する
不調の兆し
『では、無意識でコントロールされているはずの、「交感神経」と「副交感神経」がうまくコントロールされなくなってしまったらどうなるでしょうか??』
常に、「交感神経」が働く=常に交感神経が優位になると...
いつも、呼吸が浅く、息苦しく、イライラしたり、動悸などに悩まされることになります。
常に、「副交感神経」が働く=常に副交感神経が優位になると...
いつも、眠かったり、だるかったり、やる気がでなかったりと悩まされることになります。
また、それぞれの神経系が支配する臓器・内臓の機能がうまく働かなくなったりします。
そうです。「交感神経」と「副交感神経」がバランスを崩す(=自律神経失調症になる)と、体調の異変だけではなく気持ちや精神的にも異変が起きやすくなります。逆に、気持ちや精神的な不安が続くと、自律神経のバランスが乱れる⇒自律神経失調症になり、体調がおかしくなったりします。
自律神経失調症の原因
自律神経失調症の原因は以下のようなものがあります。
過度のストレス
仕事のストレス
人間関係など精神的なストレス
環境の変化などのストレス
生活のリズムの乱れ
暴飲暴食
夜更かし
メリハリのない生活
運動不足
子供の頃からの不規則な生活習慣など
頑張りすぎる
自分を追い込みすぎる
嫌なことでも断れない
感情をうまく処理できない
気持ちの切り替えができない
人の目を気にしすぎる
依存心が強い
環境の変化が多くエネルギーが枯渇している
生活環境や社会環境の変化
人間関係や仕事などの環境の変化
女性ホルモンの影響
女性はホルモンのリズムが一生変化し続けます。この変化が自律神経の働きに影響を与えます。
自律神経失調症の改善方法
からだのことならでは、自律神経の不調と以下は深い関係があるものと考えています。
「骨盤のゆがみや背骨の歪みなどからくる中心のずれ」
「脳脊髄液の循環不良」
「頭蓋骨の過緊張」
そのため、自律神経失調症を改善するためには、交感神経を抑制することにより神経興奮を抑え、動脈血・静脈血・リンパともにスムーズに流れるよう調整し、患者様の免疫力と治癒力を正常化し、自律神経がバランスをとりながら正しく働くことができる様に導きます。その結果、身体にあらわれる、さまざまな体調不良を改善していくことにつとめています。神経系統の働きが正常化すると、精神的にも安定すると言われているのはその所以です。
院長 おおしま